前回に引き続き、2025年4月13日(日)から18日(金)にかけて訪問した、フランス・ボルドーおよびブルゴーニュの出張レポートです。
後編となる今回は、新規および既存のブルゴーニュ生産者との関係強化についてお届けいたします!ブルゴーニュでは、全日本最優秀ソムリエ・阿部誠氏の紹介によりジョアン・コシュ氏の同行や鈴木裕氏にアレンジいただき合計8軒を訪問いたしました!
ブルゴーニュの匠たちとの出会い
今回の訪問で巡った生産者の特徴と、私たちが感じたことについてご紹介します。
Domaine Mont Luisant、 Domaine Dupré(ドメーヌ・モン・リュイザン & ドメーヌ・デュプレ)
ジュヴレ=シャンベルタンとの村境に近い、モレ=サン・ドニ北部に位置する家族経営の生産者です。
2016年からはコルトン・グラン・クリュ、ロニェにも畑を所有し、ドメーヌ・デュプレとしてワインを造っています。
特筆すべきは、100%全房発酵*でワイン造りを行っている一方、全房発酵にありがちな青臭さがないことで、、複雑味に富んだきれいなワインに仕上がっていました。
その味わいは、わかりやすい果実味というよりは、フランス人が好むような食事に寄り添うタイプで、プロや愛好家でないと評価が難しいかもしれません。
しかし、2022年ヴィンテージのコルトン特級ロニェは、フランスの専門誌『ルヴュ・ド・ヴァン・ド・フランス』**で98点という高得点を獲得しており、品質の高さは公に認められています。
*全房発酵(ぜんぼうはっこう) ブドウの房を丸ごと(果梗を付けたまま)発酵槽に入れてワインを造る手法です。ブドウの果皮や果汁だけでなく、果梗から出る成分がワインに複雑な香りや風味、そして渋み(タンニン)をもたらします。果梗を取り除いて醸造する「除梗(じょこう)」とは対照的な伝統的な手法です。
**『ルヴュ・ド・ヴァン・ド・フランス』 フランスで最も権威のあるワイン専門誌の一つ。プロのソムリエやワイン愛好家に広く読まれており、特に生産者やヴィンテージの評価に大きな影響力を持っています。掲載される評価は、フランスのワイン業界で最も信頼される指標の一つです。
Domaine VAUDOYSEY(ドメーヌ・ヴォードワゼ)
ヴォルネの生産者で、赤ワインはきれいな果実味が心地よい印象です。
ヴォルネやポマールの村名クラスとして、手頃な価格帯で販売されれば十分に競争力がある品質だと感じました。一方で、白ワインは重さが際立ち、やや好みが分かれそうです。
Maison Kundrat(メゾン・クンドラット)
ブルゴーニュ=コート・ド・クーショワで自らもワインを造る生産者が、若手生産者を集めてワインを販売しており、ネゴシアンやクルティエにあたる事業形態です。フランス国内のレストランにとっては、発注を一本化できるメリットがあります。
有名生産者のギィ・アミオのワインなども扱っています。
Domaine Alian BURGUET(ドメーヌ・アラン・ビュルゲ)
ジュヴレー=シャンベルタンの生産者です。当主ジャン=リュック氏によると、2024年の収穫量は例年の半分程度にとどまりましたが、高い品質は維持できているとのこと。※
試飲した2023年ヴィンテージは、きれいな酸とフレッシュ感が前面に出る、ブルゴーニュらしい年でした。補糖や補酸といった人為的な操作は行わず、土着酵母のみでワインを造る自然なスタイルを貫いています。
新たに購入した畑のワインや、買いブドウで造るコルトン=シャルルマーニュもラインナップに加わっており、今後の展開が楽しみです。
※最大量となるメ・ファヴォリットについては23年が40樽(約12000本ほど)の生産量に対し20樽前後と、量において大きな課題を残した年となった。
Domaine Alian HUDELOT-NOELLAT(ドメーヌ・アラン・ユドロ=ノエラ)
今回はご挨拶のみの訪問。ブルゴーニュでは信頼関係の構築が重要なので、またご挨拶に伺いたいと考えています。
Domaine Henri GERMAIN(ドメーヌ・アンリ・ジェルマン)
『ルヴュ・ド・ヴァン・ド・フランス』誌で二つ星を獲得するムルソーで評価の高い生産者です。同誌では「ジャン=フランソワ・コシュがドメーヌ・アンリ・ジェルマンのジャン=フランソワ・ジェルマンの名前を挙げた」と記載があり、偉大な生産者からもムルソーで偉大な赤ワインを造る生産者として高い信頼を得ているとわかります。
畑仕事に情熱を注ぐ当主ジャン=フランソワ氏の、畑作業でごつごつした手は、その哲学を物語っていました。
ワインは、教科書的なこってりとしたムルソーとは一線を画す、エレガントで素直なスタイル。ピュアな果実味ときれいな酸が特徴です。長期熟成にも耐えうるポテンシャルも備えています。
Domaine BJIKOT(ドメーヌ・ブジコット)
ピュリニィ=モンラッシェの生産者です。きれいな果実味が持ち味で、コストパフォーマンスに優れています。
ワイン造りは、白ブドウのアリゴテはステンレスタンク、シャルドネの広域白は小樽とステンレスタンク、村名格以上は複数の樽を使い分けてバランスを整えています。3割をステンレスタンク、4割を1回樽、3割を新樽でそれぞれ発酵・熟成のうえ、最後にブレンドすることでバランスをとっています。
ブルゴーニュの現状と今後の課題
今回の訪問を通じて、ブルゴーニュ全体の状況についても話を聞くことができました。
2024年の収穫量が少なかったため、価格は上昇する見込みです。また、アメリカからの関税影響があったとしても、需要が高いため価格が下がることはないとのことでした。
また、ブルゴーニュではボルドー以上に、生産者と直接顔を合わせ、信頼関係を築くことが非常に重要だと感じました。今回の出張で得た人とのつながりを大切にし、今後も地道に関係構築を続けていきたいと考えています。
*印は編集部による補足(編注)
(出張レポート:戸髙 薫・川﨑 大志 編集:WineBank)

