スーパータスカンとは
スーパータスカンとは「スーパートスカーナ」ワインを指します。
イタリアのトスカーナ州のワイン中で、特に高品質なワインについて「スーパートスカーナ(スーパータスカン)」と呼ばれてます。
今回はスーパータスカンについて背景と代表的なワインをご紹介します。
目次
イタリアのワインの格付け
イタリアでは1963年にワイン法が作られ、イタリアワインの格付けでは、「DOCG」「DOC」「IGT」「Vino da Tabola(現在はVino)」の4つのランクに分けられていました。
※2009年のEU加盟国のワイン法が改正され2010年5月から3つのランクに統合されたため、DOCGとDOCはDOPに統一されましたが、旧DOCGの生産者は今でもDOCGを名乗ることが多いため、上記図は旧格付け表を掲載しています。
高いランクの「DOCG」「DOC」に認定されるためには、バローロに使用されるネッビオーロなど、イタリア土着品種からワインをつくる必要があります。
格付けの概念に囚われない、自由な発想へ
一方、「スーパータスカン」ワインは、イタリア固有品種ではなく、国際品種と呼ばれているカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどを使用したワインのため、ワインの格付けではVino da Tabola(テーブルワイン)にランク付けられていました。
トスカーナでつくられるワインの中に、格付けランクが低いにも関わらず、高品質なワインを生み出すため、世界からの評価が高まり、スーパータスカンの注目が高まりました。
トスカーナの栽培環境
トスカーナは北緯43度に位置し、温暖な地中海性気候です。
ボルドーが北緯45度のため、トスカーナはより赤道に近く、より温暖な気候です。
ブドウ育成期間の春から秋にかけて降水量が少ないため、病害を受けにくく、夏は日照に恵まれた環境で、ドウ栽培に有利な気候です。
また、スーパータスカンが生産されている地区はボルドーに似ており、石や砂利質土壌のため、ボルドー品種がよく育つと言われています。
スーパータスカン4選
いつかは飲みたい!代表的なスーパータスカンをご紹介します。
- サッシカイア
- オルネライア
- ティニャネロ
- ソライア
サッシカイア
スーパータスカンの頂点「サッシカイア」
ボルドーワイン好きだったイタリアのマリオ・インチーザ・デッラ・ロケッタ侯爵が、ボルドー5大シャトーのひとつで名門のシャトー・ラフィット・ロートシルト家から、カベルネ・ソーヴィニヨンの苗木をもらい、ワインづくりを始めたことがきっかけ。
イタリアワインの名門「アンティノリ」の醸造家であったジャコモ・タキスを迎え入れたことで、ワインの質が高まりました。
サッシカイア=石の多い場所
ブドウ畑はトスカーナ州のボルゲリ地区にあり、このエリアはカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適した環境です。
ボルゲリ地区は5大シャトーのあるボルドーのメドック地区に似た土壌で、砂質、石灰質、粘土質から構成されます。この土壌は水はけがよく、ミネラルも豊富。また、石や砂利が熱を保持するため、果皮が厚いカベルネ・ソーヴィニヨンでもよく育つ環境です。
「サッシカイア」という名前はボルゲリ地区は石や砂利が集まる場所であることから「サッシ=石、カイア=〜な場所」から来ています。
サッシカイアのブドウ
カベルネ・ソーヴィニョンを主体とし、カベルネフランを少量ブレンドして造られます。
豊かな渋みがボルドー・メドックの赤ワインを彷彿とさせます。
しっかりとした骨格にトスカーナらしい明るさを感じる味わいです。
オルネライア
イタリアの名門アンティノリ家の当主ピエロ・アンティノリ氏の弟、ロドヴィコ・アンティノリ氏によって設立されました。
サッシカイアとワイナリー近い位置にあり、カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適したボルゲリ地区にあります。
オルライアのブドウ
オルネライアは、サッシカイアよりもカベルネ・ソーヴィニヨンの割合が低く、メルローが4割ほどブレンドされています。
ティニャネロ
イタリアワインの名門アンティノリ家のフラグシップワインです。
アンティノリは14世紀に遡る長い歴史を持つ、イタリアワインを牽引してきた名門ワイナリーです。
イタリア伝統品種サンジョヴェーゼを主体に、国際品種カベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドしたスタイルです。当時のオーナーであったピエロ氏はサンジョベーゼを使ったワインの品質向上のため、カベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドしたことがきっかけです。
ソライア
ソライアはティニャネロと並ぶイタリアワインの名門アンティノリ家のフラグシップワインです。
「照りつける太陽」という名の通り、ボルドーワインにも引けを取らないエレガンスと力強さがあります。
栽培環境はサッシカイアやオルネライアと異なり、キャンティの丘陵地にあります。
ソライア誕生秘話 サンジョベーゼとカベルネ・ソーヴィニヨンのセパージュ
アンティノリのフラグシップワインはティニャネロとソライア。
ティニャネロのセパージュはサンジョヴェーゼが7割、カベルネ・ソーヴィニョンが2割であるのに対し、ソライアはカベルネ・ソーヴィニョンが7割、サンジョヴェーゼが2割と逆の比率で構成されています。
ソライアはティニャネロの成功によりサンジョヴェーゼとカベルネ・ソーヴィニヨンの相性がよいことから、ソライアはその比率を逆にしたらどうか?と発想から誕生しました。
スーパータスカンの投資価値
ワインの投資価値ではフランスのボルドーやブルゴーニュが注目されがちですが、実はイタリアワインはその価値を高め続けている期待のワインです。
特にサッシカイアを始めとしたスーパータスカンがその価値上昇を牽引しています。
今後も素晴らしいスーパータスカンのワインに期待できますね。