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【出張レポ】メドック編 #3

今回はサンテステーフ筆頭の2級格付けシャトー、「シャトー・モンローズ」「シャトー・コス・デストゥルネル」の訪問についてレポートします。

シャトー・モンローズ

シャトー・モンローズの外観

 

シャトーの正面には各国の国旗が揚げられており、その中には日本の国旗も。
我々日本人の訪問のために挙げてくださったのでしょうか。
こうした儀礼を重んじる姿というのは貴族的なボルドーという地域柄を感じさせます。

所有者は名門ブイグ 家・マルタン&オリヴィエ兄弟

シャトー・モンローズはフランスの超大手企業でもある「ブイグ社」の創業一族、マルタン・ブイグ氏・オリヴィエ・ブイグ氏が所有しています。

ブイグ家はロワール地方ソミュールのトップドメーヌ「クロ・ルジャール」や、ジュヴレ=シャンベルタン村の名家「アンリ・ルブルソー」を買収しており、ワインの世界で<ブイグ帝国>を作ろうとしているかのようです。

シャトー内の様子

畑の地図

シャトーの建物に入ると、ロビーには複数の試飲スペースが出ています。
それぞれの試飲スペースには、畑のどこに何の品種が植わっているかや、区画の地層と地質を表した地図が飾ってあります。

 

600樽のワイン

ロビーの奥には、地下熟成庫が見渡せるガラス張りのスペースが。
一階部分が吹き抜けになった広大な空間には600樽ほどのワインが熟成されています。

 

樽は2段以上に積み上げることはなく3-4段に積み上げるブルゴーニュの狭いセラーとはずいぶんな違いです。

シャトー全体の年間生産量は約40万本ほど。
そのほぼ半量(おそらくは、トップキュヴェ)がこの場所に保管され熟成されています。

さらに奥にある熟成庫やそのほかの部屋でセカンドワイン等が熟成されているもかもしれません。

マルタン&オリヴィエ・ブイグ兄弟 最新トピック

シャトー・トロンコワ

シャトー・モンローズの所有者であるマルタン&オリヴィエ・ブイグ兄弟。

彼らは「シャトー・トロンコワ=ラランド」のオーナーでもあります。
「シャトー・トロンコワ=ラランド」を「シャトー・トロンコワ」に改名しました。

「ラランド」という名称は多くのシャトー名につけられており、「ピション・ラランド」や「ラランド・ボリー」などが挙げられます。

そこで、シャトー名を改名することでイメージを変えたかったのかもしれません。

ラベルも変更。青の蝋キャップ仕様で高級感を出した仕様に変えていました。
バランスの良いワインです。

モンローズとダーム・ド・モンローズ

モンローズ

ワインテイスティングをし、モンローズについてはやや焼きの強い焙煎香の強い樽香と、果実味の凝縮感に、がっしりとしたタンニンで、長期熟成が楽しみなスタイルでした。

ダーム・ド・モンローズ

テイスティングをして意外だったのはモンローズのセカンドワイン「ダーム・ド・モンローズ」。

モンローズのワインは頑健で気難しいイメージ。

しかしこのワインはがっしりとして収斂性を感じながらも、タンニンはしなやかでいくらかやわらかかったのです。

これは、メルローの比率が70%超と、メドックとしては例外的に高いメルローの比率によるものだと考えられます。

シャトー・コス・デストゥルネル

さて、続いて、同村、サンテステーフ内を移動し、異国情緒あふれるラヴェルで知られるサンテステーフ2級のシャトー
コス・デストゥルネル」への訪問です。

格付けでは2級ですが、ワイン評論家からは「スーパーセカンド(1級並みの品質をもつ2級)」の一つと注目されています。

シャトー・コス・デストゥルネルの建物

東洋風の建築

 

シャトー・コス・デストゥルネルはフランスには珍しい東洋風の建築。

シャトーの初代オーナー、ルイ=ガスパール・デストゥルネル氏が歴史上大きな消費地であったイギリスだけでなく、植民地のインドでもワインの販売網を拡大したため、その成功を誇示するために、東洋風の建物にしたという逸話が残っています。

この建物の外観はワインのラベルにも描かれています。

ワインテイスティング

コス・デストゥルネル

コス・デストゥルネルのワインは柔らかな果実味が豊かに広がり、
そこに肉厚なタンニンが見事に調和し、スケールの大きさを感じさせます。

コス・デストゥルネルの白ワイン

なかなか味わう機会のない、コス・デストゥルネル・ブランもテイスティングしました。

華やかな樽の香りと、それに負けないきらびやかな果実味が広がり、豊かでバランスの良い酸は見事な骨格を与えていました。

≫次回、メドック編最終回「出張レポート メドック編#4」に続く

(出張レポート:川崎 大志 / 編集:池田 眞琳)

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作成者:WINE BANK

執筆:池田 眞琳

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