【出張レポ】サンテミリオン編 #1
今回は実際にボルドー・サンテミリオンを訪れた出張レポートをいくつかに分けてレポートします。
目次
今回ご紹介するシャトー
- シャトー・フルール・カルディナル
- シャトー・カノン
シャトー・フルール・カルディナル
ワインができるまでをVRで
一軒目の訪問は、シャトー・フルール・カルディナル。
現代的な醸造所を構えるシャトー・ヴァランドローを横目に坂を下ると、シャトー・ラ・フルール・カルディナルの瀟洒な建物が目に入ってきます。
到着して、まずはテイスティング・ルームへ。
テイスティング・ルームのテーブルにはなんとVRゴーグルが!
長らくフランスに住み、各地のドメーヌ訪問をしてきましたが、VRゴーグルを使用する生産者は始めてです。
シャトーの説明が始まるとすぐVRゴーグルの調整を。
眼鏡用のアダプタをつけていただいて機材を装着すると、初VRゴーグル体験です。
収穫風景の動画から始まり、収穫果の選果、タンクへの投入、熟成と一通りの工程をVRゴーグルの動画で解説していただきました。
本来は収穫時期にしか見られない風景を動画で知ることができるのは画期的でした。
訪問の一軒目でこういった醸造工程が見れるというのは大変にわかりやすいもので、その後のシャトーでもそれぞれの工程をイメージすることができました。
ワイン試飲
一通りの解説が終わると、テイスティング・ランチに。
ランチでは看板ワインの「シャトー・フルール・カルディナル」とセカンド・ワインの「シャトー・クロワ・カルディナル」の2022年プリムールのものを試飲し、食事に合わせてバック・ヴィンテージをご提供いただきました。
「シャトー・フルール・カルディナル」
「シャトー・フルール・カルディナル」は北側区画で栽培されたブドウを使用し、カベルネ・ソーヴィニョンに重きを置いているためタンニンの骨格がしっかりとありつつも柔らかでまろやかなワインでした。
2018年と2016年をご提供いただき、まだ若いかとも思いつつ試飲した2018年は、若さが見られるものの、すでにしっかりと開いているのが興味深く、2016年は若干の熟成感が出はじめ、飲み頃を迎えはじめていました。フルール・カルディナルは2006年以来グラン・クリュ・クラッセ(※)の指定を受けており、品質の向上が目覚しいシャトーです。次回の再格付けにおいては、昇格の可能性もある、勢いのある注目の造り手です。
「シャトー・クロワ・カルディナル」
一方、セカンド・ワインの「シャトー・クロワ・カルディナル」は南側区画を中心とし、カベルネ・ソーヴィニョンを含まない分、
より柔らかい味わいで若いうちからアクセスしやすいワインづくりを目指しているとのことでした。
シャトー・カノン
こちらのシャトーは1996年にシャネル社に買収され、格付け最上級のプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(※)に認定される偉大なシャトーです。同じくシャネル社が所有する「シャトー・ローザン=セグラ」の兄弟シャトーです。
歴史を感じさせる門をくぐり、シャトーに案内されると、新しそうなステンレス・タンクが並ぶ醸造所をとおり、樽熟成の熟成庫へ通されます。
※サン・テミリオンの格付け:
第一特別級のプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(そのうち上級ランクは「A」、下級ランクが「B」に分かれる)と、特別級のグランクリュ・クラッセに格付けされます。
樽で熟成中のワインを試飲
熟成中の2022年のワインが入った樽が並ぶ熟成庫では、樽からスポイトで直接ワインを取り出す樽試飲をします。
今回はワインを熟成させている6社の樽のうち、タランソーというブルゴーニュの樽生産者の樽から試飲を行いました。
樽から直接グラスに注がれるワインを味わうことは生産者訪問の醍醐味です。今回は、同じワインを、同じ生産者の樽で熟成させた、新樽を用いた樽と、古樽を用いた樽それぞれの飲み比べをさせていただきました。
ワイン試飲
続いてワインテイスティング。
今回は「シャトー・カノン」と「シャトー・ベルリケ」を試飲しました。
「シャトー・ベルリケ」
シャネルグループが2017年に買収し、2018年からワイン造りを開始した、グラン・クリュ・クラッセのシャトーです。90年代後半以降、品質向上のためパトリック・ヴァレット氏を招聘して以来、評価の向上が目覚しいシャトーです。シャネル社による買収後、土壌調査により、その土地にあった品種に見直されました。そこで、当時大半を占めていたメルローの一部はカベルネ・フランに植え替え。これによって、カベルネ・フランの比率を三割近くに引き上げることが計画されているようです。石灰岩の土壌が多いシャトー・ベルリケは、フローラルな香りが特徴的で、キレイなスミレのニュアンスが心地よいワインでした。
次回出張レポートへ続く
次回は「シャトー・アンジェリュス」訪問をレポートします。お楽しみに!
(出張レポート:川崎 大志 / 編集:池田 眞琳)